お通夜ならまだしも、告別式でお線香を上げても良いのではないか、と
彼女は言ったらしいが、来られては困る、と言われたらしい。
そして娘が来たら、ぜひ会わせたい人がいる、と言って電話が切れた。
彼女はとっさに、再婚するのだ、と思った。
父親が大好きな娘にとって、父親が再婚すると聞いて、どう反応するのか不安だった。
彼は再婚相手と娘の三人で話をしようと思ったらしい。
そして会った娘は、意外と冷静に受け止めて帰ってきた。
それに安心した彼はお葬式がひと段落して、彼女の家に突然やって来た。
再婚相手を連れて。
今度転勤になったから、それを機に籍を入れる、と言ったそうだ。
そのときの様子を彼女は私にしてくれてた。
「なんとその連れて来た相手がさぁ、亡くなった母親にそっくりだったんだよね。
白髪が目立って、おばあさんかと思うくらい年上の女性だったの。
あんな人が好きだったなんて、知らなかったよ。
やっぱり男ってさ、自分の母親に似ている人を選ぶもんなんだね。」
彼女はなんだか寂しそうだった。